未熟者が始めたからピーベリー。
むかし、マスターが教えてくれた店名の由来。
久しぶりにドアを開けてほの暗い喫茶空間へ入る。
何を頼むかは決めていた。カツカレー。
マスターは「辛いよ」と悪魔顔で忠告してくれる。
平たい四角の皿に盛られたカレー。
多分基本はジャパニーズカレー。
でも、かなり辛い。
代謝悪めのわたしでも汗を流すまでに時間はかからなかった。鼻水まで滴ってくる。
鮮烈な辛みの渦を和らげるのがカツの、豚肉の甘い脂だ。カツカレーにして良かった。
食後のコーヒーは、胃への心ばかりの優しさを…とアメリカン。
喫茶店だけはカウンターに座るのが好きだ。
店主の所作を眺めるのが好きだから。もちろん、おしゃべりも好きだけど。
サイフォンで淹れるコーヒーは一度お湯が逆流してコーヒーと混ざり、その後攪拌、濾過されてガラスのフラスコに戻る。
青い炎とポコポコと沸騰する音、理科の実験のようで見ていて飽きない。
そして、あっという間にできたコーヒーは、カップになみなみのなみなみに注がれる。
シュガーポットは2つあって、白のポットには粒の細かい白砂糖、黒のポットには粒の大きいブラウンシュガーが入っている。
すぐに甘さが欲しい人は白砂糖を入れてスプーンでぐるぐる。徐々に甘くしていきたいのはブラウンシュガーを放りこんで、混ぜずに糖度の変化を愉しむ。
砂糖ひとつにも意味がある。
また鳴門に行ったらお邪魔しよう。
カレーとコーヒー。
喫茶店の代名詞。
カレーの途中で、
水を飲もうとすると「辛いよ」とまたお茶目に忠告してくれる。
マスターの言葉を無視して水を飲むと、
カレーはもっと辛くなった。
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